最初に訪れたのは、ミンダナオアベニューにある橋の下です。後で生徒コメントにも出てきますが、「こんなところに家が!」という場所です。橋の下で生活をしているマイケル君に話を聞きました。両親とは今分かれて生活をしています。本来は私たちが立っているところに家があるのですが、昨日の大雨で流されたり、避難をしているそうです。写真2枚目の右下に段ボールが写っていますが、子どもたちはこの上で寝ていたりします。住環境は劣悪です。川の水も汚く、臭いがしますが、暑い日など子どもは水浴びのために川に入ってしまうそうです。
※補足※
マイケル君の両親は、以前住んでいた土地を、政府の立ち退き要請で遠方に家をあてがわれて引っ越しをしましたが、田舎では仕事が見つからないので、こうして別れ別れで働いて日々の暮らしをしています。
次は、近くの施設を借りて、子どもたちとの交流をしました。幼い子も多いのですが、中には自分たちと同じ年代や年上の人もいます。こうして見ると、昨日のラサール高校の生徒とは背格好が大きく異なりますね。
日本の文化を伝えるということで、今回は折り紙をやりました。周りに教えながら進めていくのはとても大変。子どもたちは、我先にと折っていくので、正しい折り方かどうかを確認しながら進めていかなくてはなりません。また、折れた後の自己アピールがとてもすごいので、みんなが見せにやってきます。ちなみに大きいのは犬ではなくピカチューです。みんなとても良い表情をしていますね。
家は2階にあり、これで全てです。全員はいるとかなり狭く、話を聞くのが大変でした。
お母さんの収入は月2000ペソ(4000円)ほどで、そこから家賃1300ペソ、電気200ペソ、水200ペソが毎月必要となります。手元に残るのは月300ペソ(600円)ですから、家計を助けるために子どもが路上で働いています。質疑応答をしているとき、「日本では学費や文房具に困ることはないのか」という質問が出て、全員答えに困っていました。
最後に、ICANの事業の一つでもあるパン製造を訪問しました。これは、路上で生活をする子どもたちが、将来的にパンを焼くという手に職を獲得するための職業訓練の取り組みです。私たちにとっては当たり前の「なぜ最初に手を洗うのか」「冷蔵庫はどう使うのか」といったところから始めて、現在の形に至っています。
この事業は、昨年の研修でも訪問しているのですが、昨年よりも手際がスムーズになっていました。完成したパンもおいしく試食しました。
パンを焼いている間はゲームやアクティビティを行って親交を深めました。パヤタス、ラサールを経験し、自己紹介や交流にも抵抗がなくなってきました。研修が始まって4日ですが、大きな変化が生徒に起きていると感じます。
明日はパヤタスのゴミ処分場です。この研修に参加するにあたり、全員が意識している場所でもあります。おそらく一生で一度の訪問になる貴重な場所。有意義なものにしたいですね。明日のテーマは「観察すること」です。
<今日の感想>
Misaki. 同年代の子でも10歳くらいに見えるほどに、体格が小柄で、でも栄養不足でおなかが出ていた。人懐っこく、積極的だった。家庭訪問の家は、小屋を仕切っただけの感じで、プライバシーはなさそうだった。
Julia. 橋の下で生活する子どもは、親と離れてかわいそうだった。交流では、多くの子が元気で、自分の名前を覚えてくれて嬉しかった。
Yuki. 空気や臭いなど、テレビでは分からない衝撃が予想を超えていた。出会った子どもが想像以上に小さかった。どことなく笑顔がぎこちない気がした。
Kanako. 母子家庭や、親がいない子どもがいるが、その子たちも前向きに生活していて、夢を持っていた。帰りがけに、道ばたの子どもが英語で「お金ちょうだい」と言ってきたが、生きるためにそのような術を身につけてしまったのかと思うと複雑な気分だった。
Saki. テレビで存在を知ってはいたが、自分の目で見た衝撃が大きかった。自分との違いを考えてしまい、心苦しい気分になった。自分ではなく家族を優先し、夢を持っているところがすごいと思った。昨日までは学生との交流だったが、今回は学生でもないので、接し方に戸惑った。
Sakutaro. 昨日までは全員明るかったが、今日橋の下で会った子どもの中には笑わない子がいた。どうしようもできないという現実を知ってしまった気がする。今日であった子どもは英語ができなかったりと、学校の大切さを認識した。
Keisuke. バスを降りて、周りに何もないなと思っていたら、脇道の細いところに家があり驚いた。こんなところにあるとは。話を聞くと、お金を稼ぐことや学校に通って勉強をしたいということが多く、趣味などにまでは手が回っていない、別の次元という感じがした。好きな物ではなく、信じられる人を探していた。
Taishi. 橋の下で親と離れて生活をしている子どもにであった時、「ホームシックにならないか」と聞こうとしたけれど、聞けなかった。気持ちがごちゃごちゃしてしまい、言葉にならなかった。
Rikako. 政府が田舎に行くようにと指示をして、田舎では仕事が見つからない、という現状は、政府が子どもに働けと言っているのか、死ねと言っているのかのどちらかではないか。自分の生活を捨ててまで、彼らを助けられるかと言われると、自分にはできないと思った。ただ物をあげれば良いという関係では解決にならず、その根源を考えなくてはならない。
Stacy. 学校という場は、いろいろなことを教えている場なのだと改めて思った。路上生活をする子どもは日本では考えられないが、貧困でも誰かに感謝をしたり、楽しいことを見つけて生きているということはすごいと思う。
<ICANスタッフMatsuuraさんのお話>
高校生として、非常に貴重な体験をしていると思います。全員が、自分の生活との違いを痛感し、ギャップを感じていると思います。ただそこで良いなと思うのは、真剣に解釈をしようとそれぞれが悩んでいることと、路上の子どもが前向きに考えているということに目線が向いていることです。現状の環境から、どうスタートするかというのは、将来自分が迷った時の励みとなると思います。
とても貴重な体験ができましたね。
返信削除何を感じたのかな・・・・・。
何を感じ取れたのかな・・・・・。
素晴らしい体験だと思います!
考えさせられますね・・・
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